外見とからだのケア

スキンケアの基本は保湿

皮膚の乾燥や湿疹など、治療に伴って起こるさまざまな肌トラブル。
ゆっくり症状が進み、発見が遅れることも。注意深く、肌の状態を観察しましょう。

トラブルがなければ今までと同じケアを

 がんの治療がはじまっても、特別な化粧品やスキンケア商品に買い替える必要はありません。肌にトラブルがなければ、今まで通りのものを継続して使って構いません。
 しかし、化学治療や放射線治療を行うと、皮膚の再生力が低下し、肌や爪にトラブルが起きることがあります。刺激を感じたときは、低刺激タイプのものを使ってみましょう。
 肌トラブルのおもな症状は
① 発疹、紅斑(こうはん) ※1
② 皮膚の乾燥
③ 手足症候群 ※2
④ 色素沈着
⑤ 爪の障害
などです。これらは見た目に影響することから、トラブルを抱えると、大きなストレスとなります。
 トラブルを起こさない、またもし起こっても重症化させないために、肌のお手入れを習慣にしましょう。

たっぷりの保湿で潤いを

 肌トラブルを防ぐためには、肌をきれいにする「保清」と、肌を潤す「保湿」が大切です。洗顔や入浴の際は、低刺激(弱酸性)の石けんや洗顔料をよく泡立てて使うとよいでしょう。クレンジング剤には、オイルやクリーム、ジェルなどがありますが、一般的にオイルタイプは洗浄力が強く、刺激になることがあります。
 体調不良などで、洗顔が難しいときは、ふき取り洗顔が便利です。大きめのコットンに、化粧水をたっぷりふくませてから、スキンケアオイルを2~3滴垂らし、顔全体をやさしくふきましょう。水で洗えないときでも、これだけでさっぱりします。
 洗顔後には化粧水をつけましょう。化粧水は、少量ずつ手にとって肌になじませ、それを数回繰り返します。「手の内側に頬が吸いつく」くらいのしっとり感が目安です。強くたたき込むと、肌にダメージを与えるので、注意してください。
 化粧水で水分を補ったあとは、蒸発を防ぐために油分(乳液、クリーム、オイルなど)で保湿をしましょう。使い慣れたもので構いませんが、新たに購入するのであれば、アルコールや香料が入っていないものを選ぶと、より肌への負担が少ないでしょう。

放射線治療中のスキンケア

 放射線をがんに照射すると、その部分が日焼けしたように赤くなったり、かゆみを伴うことがあります。治療中は、照射部位をこすったり、強く触れたりしないように注意してください。また、放射線を当てている部分への化粧品の使用は、刺激になるので控えましょう。ローションやクリームを使うときは自己判断せず、主治医や看護師に相談してください。
 肛門やその周囲に放射線を照射している場合は、陰部を清潔にしてこすらないようにしましょう。温水洗浄トイレを使うときはごく弱めの水圧にし、水分はやさしくふき取ってください。

図:放射線治療中のスキンケア

 顔や首に放射線治療をしている人は肌がとても敏感になっています。男性の場合、ひげをそるときは注意して電気シェーバーを使いましょう。そる前には、蒸しタオルで皮膚をやわらかくしてください。シェーバーは顔に垂直に押し当てるようにすると、肌の角質を傷つけずにそることができます。ひげが伸びすぎて、シェーバーだけでうまくそれないときは、ハサミでカットしてからそりましょう。
 また、ひげをそったあとは、保湿剤を塗りましょう。

「手足症候群」は予防が肝心

 抗がん剤によって発症する「手足症候群」。進行すると、水疱(すいほう)や亀裂ができたり、潰瘍(かいよう)状になって痛みます。さらに重症化すると、がんの治療を中断せざるを得ない場合もあります。今のところ確立した治療法はないので、予防が何よりも大切です。手足症候群を予防するためには、
締めつけのきつい靴や靴下を避ける
サイズが合ったやわらかい材質の靴を選び、中敷きを使用する
長時間の歩行を避ける
 ことを心がけましょう。同じ場所に負担がかかると角質化が進み、手足症候群の引き金になります。上記以外にも、刺激を少しでも和らげる工夫をしてください。
 また、治療前には、足の指や、爪の手入れをしておきましょう。水虫や、足の炎症などのケアをしておくと安心です。足の治療専門の外来を設ける病院もあるので、主治医や看護師に相談してください。

※1発疹、紅斑
皮膚に、赤いぶつぶつしたできものが生じたり、赤い斑点が出ること。症状が進むと皮膚がむけて、びらんになったり、痛みを伴うことも。

※2手足症候群
抗がん剤によって、手や足の皮膚や爪の細胞が障害されることで起こる副作用。おもな初期症状は、しびれや痛みなど感覚の異常や、皮膚の赤み、むくみ、角化、水ぶくれ、爪の変形、色素沈着など。