コミュニケーション

子どもへの伝え方や接し方

がんの治療のことを子どもにどう伝えればよいか、この先どうやって子どもを守り、支えていけばよいのか。そのポイントをお伝えします。

できる範囲で事実を伝える

 自分や配偶者が「がん」と診断されたとき、それを子どもにどう伝えるか。これは、多くの患者さんが直面する問題です。
「心配させたくないので、子どもには伝えない」と考える人もいるでしょう。しかし、子どもは大人が思うより、ずっと敏感です。家庭内のいつもとは違う空気を感じ取り、両親の会話に聞き耳を立てていたり、不安な気持ちをうまく言葉にできずに、1人で思い悩んでいることもあります。
 家庭ごとにいろいろな考えがあるでしょう。正解はひとつではありません。しかし多くの場合、事実を隠すよりも、たとえ幼くても、子どもにできる範囲で事実を伝えたほうが、安心感を与えることが多いようです。
 もちろん、事実を知って、子どもは一時的にショックを受けるかもしれません。それでも「家族の一員として認めてもらった」という経験が大きな自信につながるのです。
 もし可能であれば、診察や治療の際に、子どもを病院に連れて行ってみてはいかがでしょう。そうすることで、子どもは親が病院で何をしているのか、どんな治療を受けているのか、理解を深めることができます。治療によって起こるかもしれない体の変化(脱毛、疲労感、痛みや吐き気など)についても、話しておくとよいでしょう。

子どもに伝えるときの「3つのC」

 では具体的に、がんという病気をどのように子どもたちに伝えたらよいのでしょうか。ポイントは3つあります。
 まず1つ目として、「not Caused=がんは誰のせいでもない」ということ。特に幼い子どもほど「自分が悪いことをしたから、お母さんやお父さんが病気になった」と思い込んでしまうことがあります。子どもには「がんという病気は、何かをしたから(しなかったから)なるのではない」ということを繰り返し伝えることが大切です。
 2つ目のCは「がん=Cancer」という言葉をあえて使うことです。「病気」という曖昧(あいまい)な表現を用いると、子どもは想像力を働かせ、より大きな不安を感じてしまうことがあります。がんという病気は、かぜのように数日で治る病気ではないこと、しかし「今はよい薬がたくさんあって、元気になる人も多いよ」と伝えてあげましょう。
 3つ目のCは、「not Catchy=感染しない」ということです。大人にとっては当たり前のことですが、子どもがかかる病気の多くは、かぜやインフルエンザなど感染する病気です。そのため「自分も同じ病気になるのでは……」と心配する子どもも少なくないのです。「お母さんと一緒のアイスクリームを食べても、うつらないよ」「お父さんが抱っこしても大丈夫だよ」というように、具体的に説明するとわかりやすいでしょう。

図:子どもに伝えるときの「3つのC」

「がんって死んじゃうの?」への答え方

 祖父母や親類など、子どもたちの周りに、がんで亡くなった方がいる場合は「がん=死んでしまう病気」という意識が強くなります。もしかすると「お母さんやお父さんも、がんで死んじゃうの?」という質問をされるかもしれません。「この状況でどうすれば……」と答えに窮するかもしれませんが、このとき「死なない」と約束することは、適切ではないでしょう。
 子どもには「死なないように自分も願っているし、そのためにがんを退治する治療を頑張って受けている」ということ、そして「がんは重い病気だけれど、今はよい薬がたくさんある。だからきっと大丈夫だと思う。そしてあなた(子ども)を心から愛している」と、伝えてみてはいかがでしょうか。
 人の命には限りがあります。でも今、精一杯生きていること、病を克服しようとしている姿勢は子どもにも伝わるはずです。何よりも、子どもに「お母さんやお父さんに愛されている」というメッセージを伝えることが大切です。

1人で抱えずに周りの手を借りて

 子どもは同じ毎日が続くことで安心します。治療などで子どもの生活が変わるときは、事前に伝え、なるべく変化のないよう、周りのサポートを手配しましょう。あなたに代わって誰がどのように、身の回りの世話をしてくれるのか、具体的に説明してあげましょう。「おばあちゃんがいるから、学校も習い事も今まで通りで大丈夫」「近所の○○さんが夕飯をつくってくれるよ」などと伝え、安心させるとよいでしょう。
 そして、できる限り、子どもたちの話を聞いてあげてください。それによって、子どもは愛され、大切にされていると感じ、安心して感情を表現できるようになるでしょう。
 しかし、がんの治療は長く厳しい闘いです。心が辛(つら)いときには、1人で抱え込まず、病院の看護師やがん相談支援センター、医療ソーシャルワーカーなどの手を借りましょう。

コラム
がん治療の際に子どもを支えてくれる窓口は?

サポートプログラム
 NPO法人Hope Tree(ホープツリー)は、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、医師、看護師などが集まり、親ががんになった子どもや家族を支援する団体。同じ状況にある子どもたちが集まり、自分の気持ちに向き合う力を高める「CLIMBプログラム」を定期的に開催している。 https://hope-tree.jp/

子どもを預けたい
 各自治体が実施するサービスとして、入院など短期で子どもを見られない場合に、保育施設や児童養護施設などで子どもの宿泊預かりをしてもらえる「子どもショートステイ」や、夜間・土・日・祝日などにサポートをしてくれる「トワイライトステイ」がある。どちらも利用料金や条件などは、各自治体によって異なる。