からだを動かす

運動習慣をつけるメリット

治療に伴って体力や筋力が低下すると、疲労感や倦怠感(けんたいかん)が強くなります。無理のない運動を毎日の生活にとり入れ、イキイキとした体を目指しましょう。

運動不足が招く筋力の低下

 がん治療を行う患者さんの多くは、疲労や倦怠感、体力の低下に悩まされます。その状態は治療が終わってからも続くことが多く、数年たっても改善しない場合があります。このような状態は「がん関連疲労※1」と呼ばれ、近年注目されるようになってきました。
 化学治療や放射線治療中は、副作用による痛み、吐き気、下痢などの症状で食欲が低下し、さらに精神的なストレスが大きいことから、外に出る機会が減る傾向があります。すると、筋力はみるみる低下してしまいます。
 高齢者では、2週間の床上安静で、下肢の筋肉が2割ほど萎縮(いしゅく)するともいわれています。「疲れるから動かない→動かないために、ますます体力が低下」といった悪循環に陥り、症状が進むと、最終的には「生活不活発病※2」になることもあります。

図:運動不足が招く筋力の低下

「軽く息が上がる」有酸素運動から

 筋力や体力の維持に効果的なのは、何といっても運動です。特に、化学治療や放射線治療中にはじめると、より効果的といわれています。
 では、どの程度の運動を行えばよいのでしょう。理想的なのは、ウォーキングやエアロバイク、水中歩行などの有酸素運動を「軽く息が上がる」程度のペースで、1回20~30分、週3回以上を目安に行うことです。
 運動はどんなことでも構いませんが、絶対に無理はしないでください。「この回数や時間なら大丈夫」という限度が自分で決められるよう、できれば病気になる前に経験のある運動がよいかもしれません。
 また、体力が低下していると、急に体調が悪くなることがあります。運動は、できるだけ家族や友人と一緒に行いましょう。継続的な運動は、疲れにくい体をつくるだけでなく、汗をかくことで気分がすっきりするので、ストレス軽減にも効果的です。

「運動」は健康を左右するカギ

 初期の治療が一段落すると、多くの場合、主治医から「今までと変わらず過ごしてください」と告げられます。しかし今後、健康を維持するために何をしたらよいのかと、悩む場合も多いでしょう。
 ひとつの指針として、米国対がん協会(American Cancer Society)が、がん体験者の食事と運動に関する研究をまとめた『がんサバイバーのための栄養と運動のガイドライン』(2012年・第4版)があります。
 この中で「今後健康を維持するために大切なこと」として「健康的な体重へ減量し、その体重を維持すること」「肥満の場合は減量するために運動量を増やすこと」「1週間に150分以上定期的な運動をすること。1週間に2日以上は筋力トレーニングをすること」などが挙げられています。
 このことからも、健康を維持するためには、運動が重要なカギになるといえるでしょう。

図:「運動」は健康を左右するカギ

気軽にどこでもできる「ラジオ体操」もおすすめです。

※1がん関連疲労
がんの治療に伴って発生する疲労が、長期にわたって続く状態のこと。

※2生活不活発病
「動かない」(生活が不活発な)状態が続くことにより、心身の機能が低下して、「動けなくなる」こと。